|
「次の休みの日、おいしいお好み焼きを食べに行こうよ」
飲み屋のママが、車で連れて行ってくれるという。
ほんと
?! 千載一遇のチャ〜ンス。
愛車フェラーリがしぶる「遠く」で、もう1度行ってみたい店……。
そうだ。東区戸坂の「ザ・パース」に行こう。
広島育ちの40代。お好み焼きにうるさいママが、からだを乗り出した。
「で、どんな店なん?」
「とにかく、美人店主」。ぼくの息が荒くなる。
「歌手の浜崎あゆみにそっくり。というか、浜崎あゆみをさらにきれいにした感じ。
いい?店主を美人にしたらアユじゃなくて、その逆なの。お好み業界のクイーン」
「なんだあ、美人に会いたいのか」。ママは途端につまらなそう。
「顔はどうでもいいんよ。あたしはね、おいしいお好み焼きが食べたいの」
おおっと。いかん、いかん。
なんとか彼女を説得し、「広島のアユ」に会わなくちゃ。
「も、もちろん、味は保証しますです」
ぼくはあわてて付け加えた。
というわけで、迎えた当日。
午後1時過ぎだったが、店内40席はほぼ満席だった。
スタッフの女の子2人が、忙しそうに焼いていた。
だけど、あれれ〜〜。肝心のアユが、いないよ。
「きょうは休みなんです」
え〜ツ!!
「いいじゃん。ほかの子もかわいいじゃん」
ママはなぐさめてくれるけど、当初の目的が……。
ホワイトソースとチーズ入りの「おこグラ」(760円)を注文。
ママは、ご飯と豚みそ炒めをはさんだ「おこめし」を頼んだ。
750円だが、年内は540円でサービスするという。
「不思議な味じゃね〜。正統派の肉玉そばとは違うけど、若い人にはいいかも。
わっ、鉄板焼きとか夜のメニューもいっぱいあるよ」
ママの批評を聞きながら、うどんに絡まった半熟の黄身をながめた。
大騒ぎして訪ねたのに。下心に対する天罰か。
胃袋は満たされたけれども、心は満たされず。
次に行けるのは、いつになることやら。悔しィ〜。
|